【生理の悩み】アフターピルの効果とは?カラダへの影響と症状は?

  

ピルと聞くと、普段から継続的に飲む低用量ピルを思い出すことでしょう。
もちろんアフターピルも、低用量ピルと同じく女性ホルモン成分でできている薬です。
また病院で処方して貰わねばならないという点も変わりません。

ただアフターピルは別名「緊急避妊薬」とも呼ばれており、避妊に失敗した時などの「妊娠の可能性がある女性が飲む薬」になります

  • 低用量ピル=避妊効果を継続させるためのもの
  • アフターピル=妊娠の可能性を防ぐためのもの

今回はこのアフターピルについて詳しくご紹介していきましょう。飲むことでどのような効果が得られるのか、また体にどのような影響をもたらすのかなど、アフターピルについての疑問を解決したい方はぜひ最後までお付き合いください。

アフターピルと生理の関係性

生理周期のタイミングで作用は変わる

アフターピルは「避妊に失敗した時に飲む薬」「性交渉の後に飲む薬」として認知はされているものの、生理周期によって違う効果をもたらす薬だというのはあまり知られていません。

まずは「いつ飲めばどのような効果があるのか」ということについて知っていきましょう。
ここでは女性の生理周期を4段階で分けて、その作用の違いを紹介していきたいと思います。

▶卵胞期

卵胞期は、卵胞の成長を促し排卵ができる状態にする時期です。
またそれと同時に、子宮内膜が厚くなり始める時期でもあります。

【体内の動き】

  • エストロゲンにより子宮内膜が増殖
  • 卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンが卵胞を成長させる

【アフターピルの作用】

  • 子宮内膜の増殖を止め、卵胞の成長も抑制
  • 着床障害も起きるため着床も阻害

この卵胞期にアフターピルを服薬した場合は、子宮内膜がどれだけ厚くなっているかで、消退出血の時期や出血量が変わります。

黄体期

黄体期は黄体形成ホルモンが多く分泌される時期です。
卵胞から成熟した卵子が排出される寸前の状態になりますので、この時期に避妊に失敗すれば、受精の可能性も一段と高くなってしまいます。

【体内の動き】

  • 黄体形成ホルモンが多く分泌される
  • 成熟した卵子が排卵される寸前

【アフターピルの作用】

  • 排卵の抑制が間に合わないため着床阻害に重点が置かれる

この時期に子宮内に精子が存在すると、後日排卵した卵子と受精してしまうことも考えられます。
そのため受精と着床のタイミングが合わないように阻害する作用になるのです。

▶排卵期

1番妊娠の可能性が高くなるのがこの排卵期です。
成熟した卵子が子宮内に存在しているため、黄体期同様、受精を阻害する作用よりも、着床を防ぐ作用に重点が置かれます。

【体内の動き】

  • 黄体ホルモンの1種、プロゲステロンが多く分泌される
  • 着床や受精卵の発育を助ける

【アフターピルの作用】

  • すでに排卵が行われていたと仮定し着床阻害を行う

▶月経期

避妊に失敗したとしても、妊娠の可能性が極めて低いのが月経期です。
とはいえ次の排卵がいつ来るのかわかりませんし、それまで精子が生き続ける可能性もあります。
そのため月経中でもアフターピルで緊急避妊する必要があるでしょう。

【体内の動き】

  • 子宮内膜が剥がれ排出される
  • 黄体ホルモンの1種、プロゲステロンの分泌が減少していく

【アフターピルの作用】

  • 子宮内膜の増殖を抑制する
  • 作用としては抱卵期と同じ

ここまで見てもわかるように、アフターピルは排卵を抑制させる作用や着床を防ぐ作用など、それぞれの時期で異なる効果を発揮してくれるのです。

服用後の生理の変化は?

服用後の出血は大丈夫?

アフターピルを服用し避妊に成功すると、その後必ず「消退出血」と呼ばれる出血を起こすことになるでしょう。
この出血が起こることで、「アフターピルで子宮の状態をリセットした」と判断することができるのです。

月経とは子宮内膜を剥がし、子宮の状態をリセットすることです。
アフターピルも同様で、服用した時期の内膜が薄かれ厚かれ、一旦排出することで子宮内をリセットする働きがあるのです。

▶消退出血と生理の違い

生理も消退出血も「黄体ホルモンの作用によって子宮内膜を剥がれ落ちる」というのは変わりません。
大きく異なる点といえば、自然に起こったものか人工的に起こしたものかということです。

  • 生理:自然に剥がれ落ちる
  • 消退出血:人工的に剥がし落とす

アフターピル服用後の消退出血は副作用のひとつとして挙げられることもありますが、これは避妊に成功したという正しい証拠でもあるのです。

服用後の予定日に生理が来ない

服用のタイミングと出血する時期を知っておこう

アフターピルは避妊に失敗したとわかってからなるべく早い時期に服用することで、よりその効果を上げることができます。
どれだけ遅くても、タイムリミットは72時間しかないと言われているのです。

ではアフターピルを飲んでからいつ頃に消退出血を起こすものなのでしょうか。これは服用のタイミングで大きく異なります。
次項ではこの消退出血のタイミングについて詳しくご説明しましょう。

服用のタイミングが排卵前と排卵後では違う

アフターピル服用による消退出血は、排卵前と排卵後ではタイミングも量も異なります。
自分が飲んだのはいつなのかがわかれば、消退出血のタイミングも計れるようになるでしょう。

▶排卵前の場合

排卵前であれば子宮内膜も厚くなりきっていないため、出血量も少ないことが多いでしょう。
また通常よりも早い時期に卵子の成長を抑制させることになるため、排卵前にアフターピルを服用した場合は7日以内に出血がある可能性が高いと言えます。

▶排卵後の場合

排卵後ということは、通常時の生理予定日も近い時期だと思われます。
そのためアフターピルを服用したとしても、ほぼ生理予定日と同じ頃に出血があると考えて良いでしょう。

一般的には「排卵から2週間後が生理」になるはずです。
そのため排卵日当日にアフターピルを服用したのであれば、生理予定日が早まる可能性もあります。
逆に排卵後に服用したにも関わらず生理予定日から大幅に遅れるようであれば、妊娠の可能性が考えられます。

生理予定日・周期の変化はある?

アフターピルで人工的に消退出血を起こした場合、次からの生理予定日や生理周期にどのような影響を及ぼすのか、これは必ず理解しておきましょう。
なぜなら自分の生理周期を把握することが、正しい避妊行為に繋がるためです。

まず生理周期についてですが、これはほぼ変わることはありません。
例えばあなたが28日周期で生理が起こるというのであれば、アフターピルによる消退出血から28日後に次回の生理がくることになります。

【例】

28日周期で1/1が生理予定日だったとします。本来であれば次回の生理予定日は1/29になりますね。
しかしアフターピルの服用で1/15に消退出血を確認したとしましょう。この場合は次回の生理予定日は2/12になるのです。

「アフターピルを飲むと生理周期が乱れる」とお思いの方もいるかもしれませんが、アフターピルは目前の1回の生理予定日を変更させる効果しかありません。
そのため消退出血が起こった後は以前と同じ生理周期に戻りますので、生理予定日も予想できるようになるでしょう。

出血があっても妊娠していないとは限らない

アフターピル服用後は妊娠の危険性が高まる

「避妊に成功すれば出血が起こる」そうお伝えしてきましたが、実は一概にはそうは言えません。
なぜならアフターピルによる効果以外でも出血を起こす可能性はあるのです。

例えば生理予定日を数日後に控えていた場合は、アフターピルの消退出血ではなく本来通りの生理による出血かもしれません。
ご存知の方もおられると思いますが、妊娠していても生理のような出血を起こす可能性はあるのです。

またアフターピルが間に合わず受精卵が着床してしまった場合も、着床出血と言われる出血を起こすこともあります。
このようにいくらアフターピルを飲んだ後の出血とはいえ、緊急避妊に失敗しているケースは考えられるのです。

またアフターピルを服用してから消退出血が来るまでの間は、妊娠する危険性が高くなっている時期でもあります
妊娠していないと断言できる状況になるまでは、なるべく性行為は避けることをおすすめします。

アフターピルの副作用や生理痛

アフターピルの副作用

アフターピルの副作用で生理が重くなる、今後の生理周期に乱れが生じるなどの症状は確認されていません。
しかしアフターピルを必要とする状況になったことで不安になり、ストレスからホルモンバランスが乱れ、さまざまな症状が出るということは考えられます。

またそれ以外にも、服用するアフターピルの種類によっては、体調不良を起こす可能性もあります

▶ノルレボ錠の場合

緊急避妊専用に開発された薬、それがノルレボ錠です。
ノルレボ錠は黄体ホルモン単体でできているため、高い効果があるのに副作用が少ないことで有名です。
今や多くの婦人科で処方されるのが、このノルレボ錠となるでしょう。

▶プラノバール錠の場合

緊急避妊専用ではなく、月経困難症や子宮内膜症の治療に使うために開発されたのがプラノバールです。
こちらには黄体ホルモン以外にも卵胞ホルモンが含まれています。

2つのホルモンが含まれるプラノバールは「中用量ピル」と呼ばれ、これは継続的に飲む低用量ピルよりも、更に強い作用をもたらす薬なのです。
そのため副作用が現れる可能性が非常に高く、身体への負担もやや大きいと言えるでしょう。
主な副作用としては吐き気や嘔吐などが挙げられます。

生理痛は酷くなる?

消退出血の際には普段と違う痛みを感じるかもしれません。
しかし次回以降の生理であれば、アフターピルの影響はほとんどありません。アフターピルの影響によるホルモンバランスが正常に戻れば、今まで通りの生理に戻りますので安心しましょう

アフターピル服用後に不安があれば産婦人科へ

アフターピルは望まない妊娠を避ける、女性にとって非常に重要な役割を持つ薬です
しかし服用の時期や生理周期によっては、避妊に失敗する可能性も充分に考えられるのです。

「24時間以内に飲んだから大丈夫」「アフターピルを飲んだあとに出血があったから大丈夫」そう思われる方もいるかもしれませんが、アフターピルが絶対の避妊方法だと過信しすぎてはいけません。

またホルモンバランスを変化させる性質がある以上、普段とは違う痛みや出血量などの症状が出ることも考えられます。
アフターピル服用後に何らかの異常を感じたのであれば、すぐにアフターピルを処方してくれた病院に相談するようにしましょう。