身体的な暴力であるドメスティックバイオレンスと並んで、非常に問題となっているモラルハラスメント。目に見えない暴力だからこそ、被害を受けていても周りが気付かないことも多くあります。だからこそモラハラは、自分自身で対処することが大切なのです。
モラハラを受けやすい人の特徴
責任感があって争い事が苦手
モラハラを受けやすい人には、大抵共通の特徴があります。モラハラ男は、こうした共通の特徴をしっかりと嗅ぎ分けて相手を選んでいるのかもしれません。相手を選ぶ能力に関しては非常にたけているのも、モラハラ男ならではの特徴といえそうです。
まず責任感が強い人ほど、モラハラの被害にあいやすいといわれています。責任感が強いと、何か問題が起こった際に相手のせいにするよりもまずは自分に非はなかったかを考えます。そして自分が改善できることは、どんなに小さなことでも全て直して関係の改善を試みようとします。
こうして争い事を極力避けて、なるべく穏便に事を進めていきたいと考える人こそ、モラハラ男にとって、相手を自分のいいように作り替える段階といってもよいのかもしれません。日々こうした出来事が積み重なることで、モラハラはエスカレートしていくのです。
自分に自信がない
自分に自信がある人は、他人から否定されてもある程度は自分を守ることができます。しかし自信がない人の場合、他人からいわれた誹謗中傷の言葉はそのまま心に突き刺さってしまうケースが多いでしょう。そのうえ、「自分がダメだからいけなかったんだ」と強く自分を否定してしまいがち。実際はそんなことはないのに、相手の言葉を鵜呑みにしてしまうのです。
モラハラ男は、そんな自信のない女性の心に付け込むのが非常に上手です。そして被害者は自分で自分自身を認められないからこそ、こうしてモラハラ男の手中にはまってしまうのです。そんな自分に自信がない女性を、モラハラ男はしっかりと見つけだしているのです。
社会から孤立している
モラハラの被害は、非常に表に出てきにくいものです。その一つの要因として、モラハラの被害者の多くが社会から孤立した生活をしていることが挙げられます。特に、非常に狭いコミュニティのみで生活をしている主婦が多くみられます。
社会から孤立していると、なかなか自分が置かれている劣悪な状況に気付くことができません。他の家庭の状況を聞く機会もなければ、自分のことを話す機会も非常に限られているのです。そのため自分がモラハラの被害にあっていることにすら、気付いていない被害者も多くいるといわれています。
またモラハラ被害者の特徴として、「相手ではなく自分が悪い」と考えている人が非常に多くいます。すると相手は悪いと考えていないので、なかなか相談することにすら踏み切られないのです。つまり被害者自身が、モラハラを自分の中で処理してしまっているケースが非常に多いといえます。そのうえ社会から孤立していて他の人と話をする機会もないので、環境を改善することもできない状況となっているのです。
自己肯定感が低い
自分に自信がない人は、自己肯定感が低い人です。自己肯定感がある人とは、「自分を好きでいることや自分を認めること」といい換えることができます。どんなに周りの人が自分を嫌おうとも、自分だけは自分自身を認めてあげることができるのです。それは誰よりも自分のことを知っている自分自身が味方なのですから、これは大きな力になります。
しかしこの自己肯定感が低い場合、周りの意見に流されやすくモラハラにもあいやすいといえます。自分のことをよく理解してくれているはずの身近な人間のいう言葉なら、たぶん間違いはないと考えてしまうからです。こうした特徴が多く見られる人ほど、モラハラの被害にあいやすい人といえます。
モラハラ男を見極めるチェックリスト
最初は優しくて魅力的だった
モラハラ男を見極めることは大変困難です。モラハラ男は表に見せる顔が非常によく、周囲からは好かれていることが多いからです。しかしこれを見極めるポイントもあるので、しっかりチェックしておきましょう。
大抵のモラハラ男は、最初は非常に優しく魅力的です。こんなに優しくしてくれる人は初めて!と、感激する人も多いことでしょう。これこそモラハラ男の特徴で、「表の顔が非常によい」という部分です。この優しさを武器にして、女性を自分から離れられないようにしていくのです。
そして優しさに惚れ込んだ女性は、そんなモラハラ男を深く信じ込むようになります。「この人がモラハラなんかするはずがない。自分がいけないんだ」と考えるようになるのです。これこそ、モラハラの始まりといえます。
他人の悪口を平気で言う
モラハラ男は、他人の悪口をいとも簡単に口にします。公衆の面前であったとしても、平気で悪口がいえてしまうのです。しかし本人には、悪気というものは全くありません。思ったことを口にしただけ。ただそれだけのことなのです。
モラハラ男は、基本的に自分以外の人間を認めていない傾向にあります。自分は優秀だからこそ、他の人間は見下してよいものだと思っているのです。そのため、悪口ではなく「相手の評価をそのまま言っただけ」と思っている可能性が非常に高いといえます。
行動に対して必ず文句を言う
モラハラ男の場合、相手の行動には必ずといっていい程文句をいいます。家事や食事はもちろん、仕事の場面でも文句は絶えることがありません。どんなに小さなことでも、重箱の隅をつつくように粗を探して文句をいってくるのです。
こうして文句をいうことにより、自分の方が上だという立場を確立しようとしているのです。どんなに文句のつけようのない行動だったとしても、何かしらいちゃもんを付けるのがモラハラ男です。逆に、そうでもしないと相手より上の立場に立てないと考えているのです。
否定されると猛烈に怒り出す
自分を誰よりも優秀だと思っているモラハラ男は、否定されることが大嫌いです。そのため否定されると、突然人が変わったように猛烈に怒り出します。これが否定ではなく、ほんのちょっとした注意だったとしても結果は同じです。自分を否定されることを何よりも嫌うので、こうした場合には怒りが止まらなくなってしまうのです。
しかも一度怒り出したら、なかなか鎮火しないのも特徴の一つです。相手がどんなに謝ったとしても、自分の気持ちが落ち着くまでは怒り続けます。そして相手の精神状態がボロボロになった頃になって、やっと怒りは収まってくるのです。
自分からは決して謝らない
モラハラ男は、自分から謝ることは決してしません。どんなに自分が悪かったとしても、謝るなんていう行為は絶対にあり得ないのです。謝るということは、自分が相手よりも下の立場になると考えているのです。自分は優秀なのだから、相手よりも下の立場になるなんて決してあってはならないこと。
そのためどんなに自分が悪いと分かっていても、決して謝ることはありません。それどころか、その問題に触れられると逆上して責任を押し付けてくることも多くあります。全てのことに関して、「絶対的に責任逃れをする。」これは、決定的なモラハラ男の特徴といえるかもしれません。
悪いことは全て他人のせいにする
自分に対して絶対的な自信がある、モラハラ男。悪いことは全て他人のせいにして、いつもラクなポジションに逃げています。お金がないのは、仕事のせい。風邪をひいたのは、妻の体調管理のせい。転んだのは、相手が注意してくれなかったせい。こうして、どんなに小さな責任も自分では取ろうとはしません。
全てを人のせいにすれば、自分は非常にラクに生きることができます。モラハラ男はそれを知っていて、一番ラクな道を辿ってきたのです。そして他人のせいにすれば、全てが上手くいくと思っています。自分が責任を負うなんて考えは、これっぽっちも持っていないのがモラハラ男なのです。
モラハラ男への上手な対策と対処法
夫の場合は上手く立ててコントロール
身近な相手がモラハラ男だった場合、上手な対策と対処法が非常に重要となってきます。一番多いのは、夫がモラハラ男であるというケースです。家族の中でも一番身近で信頼関係が深いはずの夫。また、簡単に離婚に踏み切れない女性が多いので、夫のモラハラは非常に複雑な問題です。
そんな夫がモラハラ男であった場合には、夫を上手にコントロールしていく必要があります。モラハラ男の場合、褒められることを非常に好みます。そこを利用して、上手く夫を立ててコントロールしていくとよいでしょう。どんなに小さなことでも褒めて、夫を影からサポートしていくのです。
いわゆる昭和の女ではないですが、一歩後ろに下がりおだてながら後押ししてみましょう。こうすると、夫は自分がコントロールされているなんて夢にも思いません。そのうえ常に気分よく過ごしてくれるので、モラハラの被害にも合いにくくなるのです。
彼氏の場合は暴言を受け流す
彼氏がモラハラ男であった場合には、相手の言葉を右から左へ受け流していくことがポイントです。全ての暴言を真に受けていては、身も心ももたなくなってしまいます。話は全て受け流して、自分の心に留めないようにしていきましょう。こうすれば、モラハラの渦中にはまらずに生活することができます。
モラハラ男も、暴言が受け流されてしまうことが分かればいずれ暴言を吐くのを辞めます。暴言を吐くのも、体力を使うものです。自分の手中にはまらない相手と分かれば、モラハラの被害を受けにくくなるといえます。
改善しない場合は離婚や別れを選択する
モラハラ男は、基本的に変わることはありません。特に夫や彼氏に対しては、上手な対策と対処法を盾によい関係を築いていくしかないのです。しかしそれでも改善しないことも多くあります。それどころか、悪化の一途を辿ってしまうというケースも。
その場合には、早い段階で離婚や別れを選択する勇気を持ちましょう。自分が悪いなんてこれっぽっちも思っていないモラハラ男ですから、今後の改善も見込める可能性は非常に低いといえます。一緒にいればいる程被害を受ける可能性が高くなるだけなので、早めに相手と離れる方向で考えていきましょう。
上司の場合は専門機関に相談
モラハラ男が職場の上司である場合には、早々に専門の機関に相談することをおすすめします。会社にカウンセラーがいれば、相談してみるのもよいでしょう。カウンセラーや相談機関がなければ、労働基準監督署などの国の機関に相談してみるのも手です。
上司がモラハラ男である場合、なかなかすぐに転職という訳にもいきません。またモラハラ問題を公にすることも、できるものではありません。しかし専門の相談機関ならば、匿名での相談を受けることも可能です。信頼できる同僚などに相談してみるのもよい方法です。いずれにしても、一人で抱え込まないことが大切です。
モラハラを受けた後の心の治療法
精神科でカウンセリングを受ける
モラハラ被害者の心は、大きなダメージを受けた状態となっています。自分ではなかなか自覚しにくい部分ではありますが、蓄積されたダメージは心に多大な傷を残しているのです。そのためモラハラを受けていると分かったら、なるべく早めに心の治療をしていく必要があります。
一番効果的なのは、精神科やクリニックなどでカウンセリングを受けることです。なかなか踏み出しにくい一歩かもしれませんが、専門のカウンセラーに話を聞いてもらうことは非常に大切です。そして専門の治療を受けることで、心の傷を改善していくことが可能となるのです。
自分一人では、なかなか心の傷を治すことはできません。だからこそ、カウンセリングを受けて傷の修復に努めていくことが大切です。心の傷は一生付いてまわるものなので、放置せずに治すようにしていきましょう。
可愛い動物と触れ合う
カウンセリングに行けない場合には、可愛い動物と触れ合うというだけでも効果はあります。動物には、人間の心を癒す力があるとされています。それは身近なペットでも、動物園のような公共の施設でもよいでしょう。無垢な心を持った動物たちだからこそ、人間の傷付いた心を癒せるのです。
見ているだけでも癒される動物ですが、実際に触れてみることでもっと癒しの効果が得られます。動物園が近くにない場合には、近場のペットショップを訪れてみてもよいでしょう。また散歩中のご近所の犬などに触れてみるのもよいですね。
美しい景色や作品を鑑賞する
動物だけでなく、美しいものには心を癒すパワーがあります。例えば、美しい景色や美しい美術作品を鑑賞すること。ちょっとした旅行に出て、普段見ることができない美しい景色を見るのもよいですね。また美術館などへ出向いて、静かに思う存分美しい作品を見ることも心は洗われるものです。
美しいものには、何かしら心に響くものがあります。何が響くかは人それぞれではありますが、こうしてさまざまな方法を試してみると効果的です。いずれにしても、心の傷は放置せずに自分から治そうと動くことが大切です。
自ら行動してモラハラの支配から解放されよう
モラハラは、心に多大な傷を残す暴力の一種です。目に見えないものだからこそ、それを発見したり治したりすることは非常に困難といえます。モラハラに気付いたら、一刻も早く対処することが大切です。
またモラハラ男は、ほとんどの確率で変わることはありません。それどころか、自分の価値観に相手を合わせようとしてくることが大半です。そんな環境にいつまでもいたのでは、自分の心がどんどんと病んでしまうだけなのです。
モラハラは、一種の支配です。支配から抜け出すためには、自らの意思で行動を始める勇気が何よりも必要。モラハラの環境から一刻も早く抜け出し、心の傷をしっかりと治すようにしていきましょう。