腹黒い人は悪い印象を持たれがちですが、見方を変えると世渡り上手な人ということもできます。腹黒いように見えても必ずしも悪い人ではなく、有能かつ魅力的な人である場合もあります。腹黒い人かどうかをしっかり見極めて円滑な人間関係を築きましょう。
どんな人が腹黒いと言われるのか
本心をさらけ出さない
本心をさらけ出さない人は腹黒い人とみなされがちです。何を考えているのかわからない人ほど怖い人はいません。感情をすぐ表に出す人は子供っぽく見られたり、ときに粗野にみられる場合もありますが、わかりやすい人ではあります。
わかりやすいだけに安心感を生み、好感度につながるのです。これに対し、常に冷静沈着で羽目を外すことのない人は、一見礼儀正しく節度ある人のようでどこか信用できない気にさせられます。
ときには、感情を抑えられなかったり人間らしい面を見せないと、本当は腹の中で何を考えているのだろうと不安感や不信感を抱かせます。常に感情を完璧にコントロールできる人は本心が見えづらく、尊敬されると同時に畏怖の念も抱かれるのです。
人をコントロールしようとする
他人をコントロールし、支配しようとする人も腹黒いと言われます。人をコントロールをしようとするのは意識的にそうするときと、無意識でするときがあります。
また、ターゲットを決めてそのターゲットに絞ってコントロールしようとするケースと、常に自分が優位な立場に立つために必要とあれば相手かまわずコントロールを試みるケースがあります。ターゲットを絞ったコントロールは恋愛などが典型的ですが、親子関係などでも見られます。
計算高い
物事を損得勘定で計り、計算高く立ち回る人は身近に少なからずいるのではないでしょうか。計算高い人もやはり腹黒い人とみなされます。
自分の損になるようなことはせず、どう振舞えば自分を良く、大きく見せられるかを常に意識し、計算している人は鼻につきます。狡猾にさえ感じるような計算づくの振る舞いが、案外見抜かれずに功を奏していたりすると余計に反感を覚えますが、世の中でのし上がっていく人は意外とこの手の人が多いものです。
相手によって態度を変える
水戸黄門の印籠ではありませんが、地位や立場が上の人には平身低頭し、自分より下の立場の人に対しては高圧的だったり見下した態度をとる人がいます。男女感もしかりです。
若くて可愛い女性の前ではいいカッコする男性、エリートやカッコよい男性の前では可愛らしく振舞う女性は古今東西同性の反感を買うものです。傍で見ていて気分の良いものではありません。このように相手によって態度を変える人も不信感を抱かれがちで、腹黒い人とみなされます。
人の幸せを喜ばない
人の幸せや成功を心から喜べる人は、実は意外に少ないかもしれません。家族や大切な人が掴んだ幸せや成功であれば手放しに喜べるのに、会社の同僚や学校のクラスメートなど、それほど親しいというわけでもないような人の場合は素直に喜べない、そう感じることもあるでしょう。
人はどこかで他人の幸せや成功を妬み、素直に喜べないものです。その幸せや成功が大きければ大きいほど、心に宿る影は濃く、暗くなります。
どんな人の幸せも心から喜べるのは心の広い、清らかな人です。心から人の幸せを喜べなかったとしても、そんな自分の心の狭さを恥じ、喜んでみせるのが普通の人です。人の幸せを喜べない自分を恥じることができない人は腹黒いと言えるでしょう。
物事を自分に有利な方向へ進めようとする
誰かと会話をしている時、いつの間にか話題がその人中心に進んでいくような経験をお持ちの方は少なくないでしょう。
会話に限らず、物事を自分に有利に進めようとする人は、程度にもよりますが、やはり腹黒い人と思われます。ビジネス上の他社との駆け引きならいざ知らず、友人関係や親戚関係、職場の人間関係の中で常に物事を自分の有利な方向へ進めようとする人は不信感を抱かれます。
腹黒い人の対極にいる腹白い人
とにかく正直
「腹黒い」の意味は腹に一物持っている、何か悪だくみしようとしている、狡賢いなどです。日本語には「腹黒い」の対義語として「腹白い」という言葉はありませんが、腹黒い人の対極は真っ正直な人、と言うことができます。
裏表がなく、開けっぴろげで素直な人は腹黒い人の対極です。子供のころは無邪気で自分の気持ちを素直に表せたのに、大人になるにつれて他人の顔色を窺ったり、損得勘定が働いて心と裏腹の言動をとったりしがちです。それは必ずしも悪いこと、腹黒いこととは言えません。
相手を思いやってあえて本当のことを言わない場合もあるでしょうし、正直でありすぎることは時に残酷で他人ばかりか自分すら傷つけてしまうこともあります。
空気を読まない
表裏のない真っ正直な「腹白い」人は、無邪気で天真爛漫とも言えますが、空気を読まない人とも言えます。プライベートな場であればまだしも、職場など公の場でいい大人があまりに無邪気な言動をするのは考えものです。必ずしも好意的に受け止められず、本人に悪意がなくても誤解を生む可能性があります。
大人になれば社会の中での立場に合わせた言動を求められ、必ずしも自分の心の赴くままに行動できないものです。子供の頃のピュアな心のままで社会的に受け入れられる人は、芸術家や学者などを除けばかなり希少です。日本は特に協調性を重視し場の空気を重んじる社会ですから、まったく空気を読めない人はかなり生きづらいはずです。
ただし、空気を読めないような人は自分が浮いている、煙たがられていることに気づかないかもしれません。周囲の人にとって自覚症状のない空気が読めない人は時に扱いに苦慮する人でもあります。
腹黒い人の見極め方
初対面でやたら愛想が良い
腹黒い人の見極めポイントにはいくつかありますが、その一つに初対面でやたらと愛想が良い、というのがあります。腹黒い人というのは、大抵自分が腹黒いことを自覚しているため、そう見えないように細心の注意を払っているのです。
だから自分を感じの良い人、裏表のない人に見せるために愛想よく振舞います。特に初対面の人には、思い切り愛想良くして好印象を与えようとします。腹黒い人は最初の印象が重要であることを熟知しています。
最初に受けた印象で人の評価が決まる場合すらあるので、まずは好印象を与えて高評価を得ようとするのです。腹黒い人は計算高いのでどう振舞えば、どう評価されるかをちゃんと計算しています。
他人の批判や陰口が多い
腹黒い人は自分の評価を高く維持するために他人の評価を下げようとします。他人の批判や陰口を吹聴して評価を落とそうと画策することもあります。
自ら積極的に批判や陰口を言わずに噂好きな人やおしゃべりな人に評価を落としたい人の悪い噂やマイナスイメージを吹き込んで、スピーカーとして利用したりもします。他人の批判や陰口が多い人は要注意です。
相手をやたらと褒める
相手を必要以上に褒める人も注意が必要です。ほめ殺し、という言葉もあるように人を褒めるようで皮肉や嫌味をこめることもあります。また、相手に油断させて気を許させ、いつのまにかコントロールするようになる可能性もあるのです。
良い行いやファインプレー、人よりすぐれた長所や持ち物などを褒めらるのは嬉しいものですが、あまりにも過剰に褒める人は何か裏があるかもしれません。
「腹黒い」は性格が悪いわけではない
社会性が高いことが多い
「腹黒い」にはマイナスイメージが強いですが、場の空気を読み、計算高く、自分有利に物事を進めることができるとあれば、社会的には成功する可能性が高いといえます。歴史上の人物、とりわけ織田信長や豊臣秀吉、石田三成、武田信玄などの戦国大名などはいずれも腹黒そうな人ばかりです。
腹黒くなければ戦乱の世で生き残れなかったであろうことは想像に難くありません。現代社会でも同じです。企業では一昔前の終身雇用が崩れ、実力主義や成果主義が導入されたり、グローバル化で競争相手は国内だけではありません。
旧態依然としたままでは世界に名だたる大企業といえども生き残っていけないのです。そうした激変する社会にあって、勝ち残っていくためには戦国大名並みの戦略が必要です。他人を貶める必要はありませんが、自分を効果的に押し出し、有利に物事を進める術は必要です。
とくに日本人はいまだに謙虚や謙遜を美徳と考えがちですが、グローバル社会にあって日本的な謙虚や謙遜は通用しません。アメリカや中国のビジネスマンは自信満々に自己主張し、押しが強いタイプが多く物事の進め方も日本とは違います。
だからといって彼らが必ずしも性格が悪いわけではありません。一旦ビジネスを離れてしまうととてもフレンドリーでチャーミングだったりします。腹黒いからといって必ずしも性格が悪いわけではなのです。もちろん日本人でも同じように知略に優れ、魅力的な人はいます。
知略に優れていることと腹黒さは紙一重で、同義といっても差し支えないかもしれません。知略に優れている人、すなわち腹黒い人のおかげで物事が円滑に進むことも多いのです。
自己プレゼンが上手い
腹黒い人は計算高く知略に優れていると同時に自分の見せ方も上手です。自分が腹黒いことなど露ほども気づかせず、気さくで親切な人のように振舞うこともできますし、緻密な戦略を練っていながら無防備で無策な振りをして相手を油断させることもできます。
腹黒い人は本心をさらけ出さずにするっと相手の懐に入り込めるのです。相手を懐柔するのは腹黒い人ならではの高度なテクニックです。相手や状況に応じて上手に自己プレゼンができ、その結果として出世が早かったりモテたりするのです。
腹黒いと言われる人の世渡りスキルを見習ってみよう
腹黒さとは何かを考えてみると世渡りに必要なスキルである、と言えるのではないでしょうか。人は大抵心の赴くままに生きてはいけませんし、本音と建て前は違います。他人に不愉快な思いをさせたり、貶めるような言動は人として厳に慎むべきですが、戦略的に自己実現を目指すのは決して悪いことではありません。
ときに相手を褒めて油断させたり、上手くコントロールしたりしながら巧みに自己プレゼンして物事を有利に進めていくのは古今東西、成功者の誰もが実行してきたことです。歴史小説が不変の人気を誇るのも、先人の成功や生き方に学ぶことが多いからです。腹黒いと言われながらも出世したり、モテたりする人を良く観察してみましょう。
その人が本当に性格が悪く嫌な人かどうかはじっくり見極めてみたほうが良いでしょう。人は成功したりモテる人をやっかみや妬みから悪く言いがちです。腹黒い成功者とされている人より、むしろその人を悪く言う周囲のほうに問題があるかもしれません。しっかり見極めたうえで、腹黒いと言われている人が知略に優れた成功者とみなすことができたなら、その人の言動を分析し、見習ってみましょう。
世渡り上手は悪いことではありません。不器用や要領の悪さは努力で改善できる場合があります。歴史上の人物に学ぶのも良いですが、同じ時代に生きる身近な世渡り上手こそより良いお手本になるでしょう。