腐女子がBL漫画にハマる理由とは。読みやすい人気の作品について

  
腐女子がBL漫画にハマる

腐女子がBL漫画や好きな男キャラクターでカップリングするのにハマるのはなぜなのでしょうか。一般的な恋愛漫画とは一味も二味も違うようなBLの魅力はどのようなものなのでしょうか。人気作品に触れることであまり良いのイメージがないBLのイメージが覆されていきます。

なぜ女性はBL漫画にはまるのか

BLはある種の純愛

男女の恋愛を描くときは恋のライバルが登場したり、不倫や浮気などのドロドロとした人間関係、また結婚や妊娠などの価値観などを描かれることが多いため、純愛とはいえないものが多いです。

それと比べて、BLは多くの困難が訪れながらも2人で障害を乗り越え、お互いを想い続けていくという純粋な恋愛話が描かれることが多いです。

特に同性愛はまだまだ共感されることも少なく、男同士の恋への偏見が壁になることがほとんどなため、そういった偏見への苦悩や葛藤を経て2人が結ばれるというストーリーにキュンキュンする女性が多いです。

ただし、近年では、好きなキャラクターをくっつけて恋愛模様を想像するBLが人気になりつつあり、ここでは、単に好きなキャラクターが同性愛をしている姿を妄想して楽しんでいるという人が多いです。

純粋さを重視するストーリーを楽しむタイプの腐女子はあまり上記のような同人誌に多いタイプのBLはあまり好まない場合が多いです。

アツイ男の関係性

一般的な少年漫画などでは男のアツい友情が描かれることが多いです。BLではそんなアツい関係の一歩深いところを描いており、友情としての愛ではなく、男同士の恋愛が熱くディープに描かれており、そこに魅力を感じる女性が多いです。

近年では、腐女子は普通の漫画で描かれている男同士の友情や恋愛関係ではないアツい関係のキャラクターたちを脳内でディープな関係にくっつける傾向があり、単なるファンタジーものでも、スポーツ漫画でもすべてにおいてBLにしてしまいます。

脳内で妄想するときはアプローチされる側の「受け」とアプローとする側の「攻め」などとカップリングをしてBLを楽しむという傾向があります。

客観的に楽しめる

一般的な男女の恋愛漫画だと、女性はヒロインや他の女性キャラクターに感情移入しやすく、モヤモヤしたりイライラすることがありますが、BLだと両方が男性のため、客観的に恋愛を楽しむことができます。

現実の恋愛では恋愛をする前にスキンシップやいやらしい言葉をかけられるなどのセクハラを経験します。それは一般的な恋愛漫画でも同様で、それに感情移入してしまってモヤモヤしてしまうことが少なくありません。

BLの場合でも同じようにセクハラされているシーンが多いですが、対象が男性対男性のため、女性は感情移入することがなく、逆にセクハラされてとまどってい男性に対して「かわいい」とか、アプローチをかけている男性に対して「いいぞもっとやれ」と思ってしまうのです。

腐女子初心者におすすめの王道漫画

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ほのぼのとした「いとしの猫っ毛」

「いとしの猫っ毛」は雲田はるこ作の草食系肉食男子とねこ系天然男子のほのぼのボーイズラブです。昔の少女漫画のような温かく可愛らしい魅力的なタッチで描かれています。

よくある一波乱があってから結ばれるというBLものではなく、最初からすでに付き合っています。両想いになったのに離れ離れになって6年後、イケメンなのにへたれなみいくんと、肉食系男子けいちゃんがアパートで一緒に住むところから始まります。

最初からお互いのことが大好きなみいくんとけいちゃん、個性豊かなパートの住人、みいくんのゲイ友達が織りなすおのぼのハートフルライフです。

刺激的な同性愛ではなく、キュンキュンしたいという方向けの1冊です。

純粋にトキメキができる「同級生」

「同級生」は中村朝日美子作の学園ボーイズラブです。繊細で綺麗なタッチで男子高校生が描かれています。

高校2年の夏、合唱祭の練習中に、草壁光は隣にいる佐条利人が口パクをしていることに気づきます。着崩した制服が特徴のバンドマンの草壁と、優等生の佐条は正反対でほとんどかかわりがありませんでした。口パクをしている草壁に対し不快感を抱くものの、放課後に音痴を気にしながら歌の練習をする佐条を見つけ、努力をしているひたむきな姿に惹かれていきます。佐条もまた、練習に付き合ってくれる草壁に心惹かれていきます。

BLと言えば、激しい描写をイメージする人が多いですが、本作は男子高校生の純愛が描かれており、甘酸っぱく温かい気持ちになります。

大正の子爵と家令にドキドキ「憂鬱な朝」

「憂鬱な朝」は日高ショーコ作の大正ボーイズラブです。子爵と家令という身分の違いのある二人の恋愛模様が描かれています。

父親が無くなり、10歳で久世子爵家当主を継いだ暁人と家令兼教育係の桂木との関係の移り変わりが魅力的です。社交界で一目置かれるほどの美貌でやり手の桂木は特権階級に批判的で暁人に冷たく厳しい態度を取ります。だんだん桂木は素直な暁人に惹かれ、愛情を求めていく様はもどかしさを感じながらもときめきを感じます。

大正時代が舞台となっており、リアルでさまざまな人間関係や華族社会、事業などが色濃く描かれており、切なく甘いロマンスや駆け引き、謎解きなど様々な観点で楽しむことができる作品です。

ギャグに笑ってしまう「そんな目で見てくれ」

「そんな目で見てくれ」は毛魂一直線作の学園ボーイズラブです。

イケメンの生徒会長の大和御門が目つきの悪い男子生徒、根崎春の笑顔に一目ぼれしてしまいます。最初は表情が変わらなかった根崎が心を開いて照れたり泣いたりする様が腐女子にはたまりません。

イケメンなのにギャグ顔になったり、ギャグを連発するあたりは普通のBLとは違い、思わず笑ってしまいます。疾走感があり、読み応えはすっきりとしているので、BL初心者向けといえます。

社内恋愛に癒される「俺と上司の恋の話」

「俺と上司の恋の話」はナナメグリ作の上司と新入社員のハートフルラブストーリーです。

本作の主人公である高梨は社員として入った会社がゲイ受け入れモードの会社であることに気づきます。実は高梨の初めての上司である徳永はゲイで、高梨にロックオンし、一途に高梨のことを想い続けます。最初は嫌がる高梨が、一途な徳永の想いに惹かれていく恋模様を描いています。

最初はほのぼのとしており、周りもゲイに抵抗がないため、大きな困難というものはありまんがところどころ心を掴まれるような展開があり、読者が思わず引き込まれてしまうような魅力があります。

身近にいそうでいない、ほのぼの系ボーイズラブで読みやすいといえます。

腐女子たちに人気の今アツイ漫画

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複雑な三角関係が魅力の「犬も喰わない」

「犬も喰わない」は彩景でりこ作の三角関係入り交わるボーイズラブです。

探偵事務所の調査員として勤める空木は大学教授である山代から「妻の身辺調査」を依頼されます。すると妻が浮気をしていることがわかります。相手は夫である山代と同じ大学に務める教授の奥園。奥園は「山代の愛した女子を寝取る」ということを何度も繰り返しており、複雑でゆがんだ恋愛が繰り広げられていきます。山代と奥園の関係がどうなるのか必見です。

本作には表題以外にもいくつか作品があるため、色々な物語を楽しみたいという方にはぴったりです。

重版が相次いだ「それから、君を考える」

「それから、君を考える」は小松作のボーイズラブの短編作品集です。

表題である「それから、君を考える」は高校3年生という受験を控える男子高校の幼馴染への気持ちを描いたピュアで切ない恋物語です。

娯楽も何もない田舎町に小さいころから一緒に過ごしてきたタカシとヤスは高校生になってもずっと一緒にいました。ヤスはタカシに対して、友達以上の気持ちを抱いていました。そんな気持ちを隠しながら高校3年生になり、タカシから東京の大学を受験することを告げられます。青春時代の甘酸っぱい恋模様が甘く切なく美しいです。

ボーイズラブというよりはその一歩手前の友情というジャンルに近いですが、登場人物の恋模様は読んでいく中でなんどもキュンキュンさせてくれます。

耽美なものが好きな方には「櫻狩り」

「櫻狩り」は数々の大ヒット作を生み出した渡良瀬悠宇作の大正時代を舞台に愛憎劇を描いたボーイズラブです。

一高入学を目指して状況した田神正崇の前に現れた侯爵家の御曹司斎木蒼磨。ちょっとしたきっかけから斎木蒼磨の家に書生として転がり込みます。最初は蒼磨への接し方に戸惑う正崇でしたが、少しずつ打ち解けていきます。そんな斎木家で巻き起こるトラブルや愛憎劇が繰り広げられていきます。

蒼磨と正崇があることがきっかけて激しく傷つけあう姿は胸が締め付けられます。

ファンタジーが好きな方には「鴆−ジェン−」

「鴆-ジェン-」は文善やよひ作のファンタジーボーイズラブです。

本作でのボーイズラブの対象は将軍×人外です。有毒な食べ物を好んで食べ、その毒を色に変え美しい羽根をつくる鴆(ジェン)という鳥人がいました。一番美しい鴆のツァイホンとツァイホンの毒で兄を殺されたフェイ将軍との憎しみと愛が交錯する恋愛物語です。

小生意気な鴆がだんだんと表情豊かになり、フェイ将軍への想いが強くなります。毒の身体を持つツァイホンとフェイの命がけの恋は必見です。

吉原の料亭が舞台の「幻月楼奇譚」

「幻月楼奇譚」は今市子作の吉原の料亭を舞台にしたボーイズラブです。

老舗高級味噌屋の若旦那である鶴来升一郎。彼のご贔屓で金次第でなんでもする幇間と与三郎に言い寄ります。吉原の料亭である「幻月楼」の座敷では人の世の欲望とあやかしが織りなされます。

雰囲気が怖いながらもユーモアがあり、升一郎と与三郎の絶妙な掛け合いが人気です。

映画化もされた「どうしても触れたくない」

「どうしても触れたくない」はヨネダコウ作の上司と社員との間で揺れ動く甘くせつないボーイズラブです。

新しい職場で働き始めた嶋。初めて出社した日にエレベーターで二日酔いをした新しい上司、外川と出会います。ずうずうしく無遠慮に見えますが、気遣いを忘れない外川にだんだんと惹かれていく嶋ですが、以前傷ついた過去があり、一歩踏み出すことが出来ません。外側は一途に嶋を想い続けます。好きなのに素直になれない嶋の恋の行方は必見です。

よくあるBLもので、淡々としていますが、胸にグッときます。激しさはありませんが心をほっこりとさせてくれます。

あなたも魅力的な腐の世界へ

あなたも魅力的な腐の世界へ

BLといわれると男性同士の激しい恋愛というイメージや腐女子が妄想しているイメージがあり、あまり踏み入れたくないと思われがちです。

激しいBLだけでなく、甘く切ないほのぼのとした恋愛模様を描いたBLが多いのが特徴です。そのため、BLのイメージが覆される人がとても多いです。

男同士の恋愛に対して偏見を覆してくれるような作品も多いため、初心者向けといわれるBLものを選ぶことで、よりBLの魅力を感じることができるでしょう。本稿で紹介した作品はどれもBLに対して抵抗感を持っている方でも読みやすいものとなっているため、まずはここから探してみるといいでしょう。