セックス依存症の特徴や原因とは。一人で悩まないための治療法

  
セックス依存症

セックス依存症とは、精神疾患の1つです。ストレスやトラウマが原因によってセックス依存症になってしまうこともあり、その場合には治療が必要です。セックス依存症の原因や特徴について詳しく知っていくとともに、治療法についてみていきましょう。

セックスに依存する人の特徴

セックスは愛情表現と捉える

幼少期の体験で「親からの愛情不足」がセックス依存症を引き起こすといわれています。両親からの幼児虐待やネグレクトといった家庭環境で育った場合、本来なら無心の愛情を受けてもいいはずなのにそれが受けられなかった分、自分を受け入れてくれる存在に依存します。

このようなが原因によって、セックスの快楽を幼少期に満たされなかった愛情を求めたり、ストレスや不安といった精神状態から抜け出そうとするために、セックスに依存することが多いようです。

不特定多数の人と関係を持つ

セックス依存症は別名「性嗜好障害」や「性依存症」ともいわれ、セックスに依存することが主な症状です。セックスそのものの行為が好きというわけではなく、行為中に満たされた気持ちになったり、自分が求められている、認められているといった気持ちになることで依存してしまいます。

とくに不特定多数の人と関係を持つことで、大勢の人に自分が求められている、認められているといった気持ちになります。親から十分な愛情を受けられなかったため、愛情や幸福感を人一倍に得たいために不特定多数の人たちとセックス行為を繰り返します。このような状態では普通のセックスでは満足を得難いのでしょう。

常に性行為のことばかり考える

セックス依存症は性行為のことだけではありません。「性」を感じさせる行為自体のすべてが対象になります。心の闇の理由から、性的欲求が常に満たされず、マスターベーション、のぞき、痴漢、売春などの犯罪に手を染めてしまうこともあります。

幼少期の家庭環境や仕事、対人関係によるストレスを性行為中だけは忘れられるという感覚が抜けないため、常に性行為のことばかりを考えるようになってしまいます。この感覚が自分を抑制することに勝ってしまい、自分自身でコントロールができなくなります。強い刺激を追い求めることで、モラルの低下へとつながります。

新しい男性との出会いを常に求める

不特定多数の人と関係を持つことと同じように、さらなる刺激を求めて、新しい男性との出会いを常に求めていることもあります。セックス行為はパートナーを知るための行為ではなく、自分自身の充足感を追及するためです。

新しい男性との性行為は、より強い刺激や興奮をもたらすことも多いようです。新しい出会いを求める場所としては、出会い系などで相手を探す人もいるため、トラブルや犯罪に巻き込まれてしまうケースも少なくありません。

男性からモテたいと願う

普通ならある程度は親しくなってからでないと、身体の関係を持ちません。しかし、セックス依存症の女性は、親しくなる前からセックスによって相手を魅了しようとします。自分自身の容姿に自信を持っていることも多く、男性からモテることで誰かに強く求められている、必要とされていると感じることで自己の承認欲求を満たそうとします。

女として男性からモテるのはうれしいことですが、極端なまでにモテ願望が強すぎると、モテるためにセックスをエサに男性を誘うようになり、セックスに対するハードルが低くなってしまいます。

またセックス依存症の女性は、コミュニケーションを交わし合い信頼関係を築くことが苦手な場合も多く、もっと親密になりたいための手段として、性的な関係を結びます。自分に自信があるからこそ男性を魅了したい、モテたいという欲求は自己への愛情が欠如していることが考えられます。

 

セックスに依存してしまうデメリット

セックス依存してしまうデメリット

性病にかかりやすい

快楽を追い求めるからこそ、危険や激しいセックス行為を好むため、コンドームなどの避妊具を使わずにセックスする傾向があるとされています。不特定多数の人と避妊具を使わずに性行為をしたら、性病に感染するリスクが高まります。女性の場合は将来の不妊につながる恐れもあります。

また、HIVにも感染する危険もあります。HIVに感染しても医学の発達によって、早期に薬を服用することでAIDSの発症時期を遅らせることができるようにはなりました。それでもHIVに感染したことを治すことはできません。何より性病は他の人にうつしてしまうこともあり、自分が被害者になるだけではなく、加害者になる可能性もあります。

未婚で子供を授かる

セックス依存症の女性は避妊をせずに、性行為におよぶケースが多いです。避妊をしなければ望まない妊娠をする可能性も高まります。また信頼するパートナーと結婚して計画的に結婚し、妊娠するという段階を踏んでいないため、未婚で子供を授かってしまうことも多くあります。

未婚で子供を授かることによって、生まれてきた子供に経済的や精神的な苦労をかけてしまう可能性もあります。未婚で子供を授かることは、事情はあるにしても差別や偏見に晒されることもあります。避妊しないで性行為をすることで自分自身の身体を傷つけてしまうことに加え、周りの人や生まれてくる子供までも傷つけることになります。

不倫に走ってしまう

「セックスをしたい」と、セックスという行為によって快楽の欲求を満たすため、不倫に走ってしまうこともあります。ここ数年、日本では不倫に対する世間の目も厳しくなっています。もちろん不倫は民法上の不貞行為にあたりますので、法律に違反する行為です。

不倫をすると配偶者から慰謝料を請求されたり、離婚などの危機もあるでしょう。子供がいる場合は子供に会えない、職場に発覚すれば左遷や退職に追い込まれるなど、社会的な制裁を受けることもあります。独身で既婚者と不倫することで、将来に縁談があった場合に身の上調査をされ、縁談が破談になる恐れもあります。また既婚者同様に、独身の場合でも慰謝料の請求など金銭的な賠償を負います。

性犯罪に手を染める

セックス依存症の人は、性犯罪を犯すリスクが高くなります。セックス行為に対する過度な欲求を抑えることが難しく、セックスするという目的を達成するために手段を選ばないことも少なくありません。売春や買春をしたり、レイプをしてしまうこともあります。また実際にセックスをするわけではありませんが、性犯罪としてのぞきや盗撮、痴漢などを犯すケースもあります。

不安感に襲われたとき、自分自身で正常な判断ができなくなってしまい、自分をコントロールすることができなくなった結果、性犯罪にまで及んでしまうことも多くあります。

 

セックスに依存する原因

セックスに依存する原因

恋人からの愛情不足

セックスに依存する原因はさまざまですが、その一つに恋人からの愛情不足があります。幼少期において、親からの愛情が不足したまま成長することで、常に誰かからの愛情を求めている状態に陥ってしまいます。

成長して大人になってからは、恋人に親からは十分に与えられなかった愛情を要求してしまいます。誰かに愛されたい、必要とされなければ自己を保つことが難しいとされていて、無意識のうちに親の姿を恋愛相手に投影しているのかもしれません。

略奪愛に興奮する

より刺激的な興奮を追い求めるためにドラマにあるような奪略愛に興奮することもあります。「ドキドキしたい」、「人として認められたい」という欲求から、相手を獲物としてみています。相手の社会的地位が高ければ高いほど、自分自身が置かれている状況に興奮します。

また、この人に認められたら自分は価値がある人間だと自分の気持ちを満たすことができます。承認欲求が強いからこそ、ターゲットを落とした後は相手に対する興味も急速に薄れてしまいます。セックス依存症の人の多くは、恋愛依存症にもなっているのかもしれません。

気軽に頼れる友達がいない

自分の内面をさらけ出すことが苦手であったり、コミュニケーションを取りながら対人関係を築いていくことができません。仕事や人間関係で強いストレスを受けても、それを打ち明け、相談できる友達がいないことも多いです。そして、孤独や不安から逃れるために性行為に没頭してしまいます。心の寂しさをセックスで埋めるようになります。

女性ホルモンのバランスが乱れる

何らかの原因でホルモンバランスが乱れてしまい、セックス依存症を発症してしまうことがあります。テストステロンという男性ホルモンの一種の分泌が異常になります。テストステロンが脳内で多く分泌されると、「セックスがしたくて、その衝動を抑えることができない」という状態になってしまいます。

 

セックスに依存する症状

セックスに依存する症状

誰とでもセックスができる

性行為自体を目的としている場合、状況を冷静に判断することが難しくなります。生活のなかで少しでも不安を感じると、これを解消しようと性行為をしたくなります。

ストレス発散や不安解消のためにセックスをするのです。信頼関係があって、十分な愛情を感じることが目的ではなく、セックスをすることで自分が抱える不安などから逃れようとします。

セックスをしていないと不安になる

セックスしないと不安になるのかというと、それは、「寂しい」からです。人恋しかったり、誰かに必要とされている実感が欲しかったりするため、セックスをすることでその欲求を満たしているのです。

また性的な行為をすると、脳内では快楽物質が分泌されます。「ドーパミン」は、不安やイライラを抑え、満足感や幸福感を高めてくれる、快楽物質です。セックスすることでドーパミンが分泌されれば、またその行為を繰り返したくなります。

この快楽物質は強烈なもので、自分自身でその快楽を抑えることが難しいものとされています。薬物依存者が何度でも薬を使ってしまうのも、薬物の使用時にドーパミンが脳内で大量に分泌されて、やめられなくなってしまうといわれています。

 

セックス依存を改善する方法

セックス依存を改善する方法

なんでも話せる友達に相談

セックス行為に依存してしまう人は孤独感や不安感を抱えているケースが多いです。セックス依存症は心の病であり、セルフケアのみで回復することは容易ではないようです。なんでも話せる友達に状況を相談することによって、孤独感や不安感が取り除かれていきます。

セックス依存症はけっして「セックスが好き」ではなく、セックスを通じて愛情を確認したり、ストレスからくる現実逃避の手段として使われます。信頼できる友達に相談すれば、心が安定します。また客観的に自分を分析してくれるため、冷静な判断や意見を受けることもできます。

医療機関を利用する

セックス依存症は病気なので、決して自分自身で改善することはできません。ちゃんとした医療機関を利用してください。精神療法を行っている精神科を受診するようにしましょう。なぜなら、セックス依存症は認知行動療法などの精神治療で治すことが大切になるため、性ホルモンの分泌を抑えるための薬物療法だけでは治すことができないからです。

認知行動療法とは、自分自身の「考え方」を変えることで、行動を改善していく治療法になります。セックス依存症の人は、性行為に対する考え方や、パートナーに対する考え方に歪みがあるといわれています。これを精神科の医師と一緒に治療することで、歪みや間違いなどに気づくことができ、正しい方向へともっていけます。歪んでいた考え方を矯正することができれば、セックスに依存することが行動として間違っていることに気が付くことができるので、症状に改善がみられます。

これと並行して、薬物治療も補助的な意味で行うこともよいでしょう。男性ホルモンであるテストステロンの分泌を減らすことで、性欲を抑えたり、衝動性を抑えたりして、セックスに対する依存度が低くしていきます。アメリカでは、セックス依存症が精神疾患の1つであると広く認知されており、患者数も多いためにセックス依存患者を専門に受け入れる入院治療施設があるのですが、日本ではこのような入院施設はまだ少ない状況です。

セックス依存症を治療するための精神科、またはそれを専門に行っている精神科はありますので探してみてください。どういった精神科に行けばいいのか分からない場合は、地域の保健所や各都道府県の精神保健福祉センターに相談することもよいでしょう。

カウンセリングを受ける

セックス依存症は寂しさや愛情の欠乏に起因することが大きいです。本当はセックスという行為がしたいのではなく、自分自身の心を満たしたいだけです。

心理カウンセリングは電話や対面を通じて心の奥深くにある、普段は気づいていない潜在意識まで掘り下げていき、欲求を明らかにしていきます。

過去のトラウマや嫌な体験から、心に渦巻くネガティブな感情や欲求が眠っているとそこから逃避するためにセックスを引き起こしてしまいます。心は体を支配しているため、複雑に絡んだ心をカウンセリングによって解きほぐすことで、心が解放されて自分の心が満たせることに気付くことができます。

 

セックス依存は改善しよう

セックス依存は改善しよう

セックス依存は改善する必要があります。自分の心を満たす唯一の手段としてセックス行為を繰り返すことで、自分自身を深く傷つけてしまいます。欲求を抑えることができずに快楽に身を任せてしまうことで、健康被害も受けてしまいます。

また、性犯罪を犯すリスクも大きくなることで周囲に迷惑をかけてしまいます。依存症は自分自身で歯止めをかけることがとても難しく、周囲から止められても自分ではやめられないので、これによってますます周囲から孤立する原因にもなりかねません。

「もしかしたら私…」などと思い当たる場合には、専門の医療機関やカウンセリング、または信頼できる人に相談しましょう。同じ悩みを抱える人たちとセルフヘルプグループへの参加もあります。社会にあるさまざまな対処方法を利用して回復を目指してください。