ピルは妊娠を防ぐだけではない?知っておきたいピルのこと

  

女性は、男性と違ってセックスに妊娠のリスクを伴います。望まない妊娠をしてしまった場合に、産むにしても中絶するにしても、負担がかかるのは女性です。避妊をする方法には、コンドームを着用するのとピルを飲用する方法があります。どちらも高い避妊率になっているのが特徴です。

また、ピルには避妊の効果だけでなく、女性の体にもたらす高い効果もあります。体のバランスを整えるために、ピルを服用している人もいます。今回は、妊娠を防ぐだけではないピルの効果について紹介していきます。ピルの服用を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

ピルの種類

ピルには世代がある

ピルにはいくつか世代があります。第一世代のピルになるのが、ノルエチステロンです。アメリカで開発されたピルで、黄体ホルモンが多いのが特徴になります。オーソやルナベルなどの避妊薬に使用されています。第二世代のピルは、レボノルゲストレルです。卵胞ホルモンを低下させて、高い避妊効果を発揮できるように改良されています。

第三世代のピルは、デソゲストレルの黄体ホルモンです。第二世代のピルと違うのは、アンドロゲン作用を抑えていることで、避妊効果については大きな違いはありません。現在多く流通しているのが、第四世代のピルです。女性ホルモンの調整をしながら、避妊効果を維持して副作用を抑える効果があります。

相性ピルと段階型ピル

相性ピルは、一回の服用周期に配合しているホルモン量の変化がなく、同じになっています。どんな順序で服用しても問題がなく、安定性に優れているのが特徴です。周期を延長する場合も、休薬の期間を設ける必要性がなく、生理による出血が起こるまで継続して飲用することができます。

段階型ピルは、女性ホルモンの環境に適したピルを選択して服用するのがポイントです。決められた順番通りに飲むことがポイントになるため、順番を間違えないように気を付ける必要があります。ちなみに順番を間違えることがないように、通常はピルケースやシート、錠剤の色を変えているのが特徴です。

21錠と28錠のタイプ

ピルには、1シートの期間が21日のタイプと28日のタイプがあります。基本的に服用して得ることができる効果に大きな差は無く、金額の差もないのが特徴です。自分のライフスタイルに適したタイプを選ぶことになります。

ピルを始めて飲む人は、28日タイプから始めるのがおすすめです。21日タイプのピルと比べて7日多いのは、7日間の休薬期間が理由です。21日の場合は、休薬期間中にピルを飲みません。飲み忘れる可能性があるため、不安な人は28日タイプを選んで飲用するわけです。休薬期間を間違えると、妊娠するリスクがあるため、21日タイプは慣れてからにしましょう。

ピルと妊娠の関係

ピルで避妊できる理由

ピルを飲用することで、排卵ができなくなります。排卵は黄体ホルモンが原因となって起こるのが特徴です。黄体ホルモンが分泌されている状態だと、排卵を引き起こすことには至らず、結果的に排卵しなくなるわけです。つまり、ピルを服用することで排卵後の疑似状態を作ることができます。

受精卵が着床するために、柔らかく厚みのある子宮内膜を作る必要があります。ピルには黄体ホルモンが含まれており、この働きによって子宮内膜を作るエストロゲンの働きを抑えることができます。着床しても妊娠できる環境が整ってないため、ピルを飲んで妊娠に至らないわけです。

膣内で射精した後は、子宮を目指して精子が進みます。精子が進む道は、黄体ホルモンによって粘り気がアップするのが特徴です。粘り気が出てくると、精子が通過することができなくなってしまうため、妊娠できない状態になります。このように、ピルで避妊できるのは三つの要素が関係しています。

ピルを飲んで妊娠する確率

ピルを服薬することによる避妊率は99.9%です。しかし、100%ではないことが示すように、妊娠する可能性も含まれています。この0.1%は、ピルが正しい効果をもたらさないのではなく、ピルを飲用する側が間違えてしまうことが理由です。

特に多いのは、生理初日を間違えてしまう場合です。ピルを服用する場合は、スケジュールを守るのが基本になります。当然、飲み忘れてしまうとピルの効果は発揮できなくなるため、注意して服用する必要があります。正しく飲用していれば、妊娠する可能性はほとんどありません。

ピルで妊娠しやすい体つくりができる

ピルを飲用するメリットの一つに、卵巣にかかる負担を軽減して、老化スピードを和らげる効果があります。生理が始まってから閉経するまでには、何度も排卵を繰り返しているため、卵巣にかかる負担は大きくなっています。卵巣が弱ってしまうと、妊娠しにくい体になってしまいます。

ピルを飲用して卵巣の働きを休ませることは、卵巣の負担を軽減することにもつながります。ピルは避妊するだけでなく、妊娠しやすい体を作る効果もあるのです。不妊で悩んでいる女性の中には、ピルを服用している人もいます。

射精から何日までならピルで妊娠を防げる?

射精をすることで妊娠する確率は、およそ8%から25%です。膣内で射精してしまった場合は、アフターピルを飲用することで避妊することができます。アフターピルを服用して妊娠できるのは、疑似的な生理状況を作るためです。妊娠する確率を大幅に減らすことができます。ただし、服用して72時間が経過してしまうと効果が無くなってしまうのですぐに服用する必要があります。

ピルがもたらす避妊以外の効果

生理不順の解消

ピルは避妊するために服用するイメージが強いですが、生理不順を改善するために服用するケースもあります。生理不順は、定期的に生理が来ない状態で、体質的な問題もあれば、生活習慣の乱れが原因になっている場合もあります。生理不順になると、排卵障害や黄体機能が不全になるなど、生殖機能に悪影響を及ぼします。

ピルには体内のホルモン量をコントロールする効果があります。この効果によって、生理不順を改善することができるのです。生理不順は体調不良にもつながるため、生理不順で悩んでいる人の中には、ピルを服用している人もいます。効果を得るためには、正しいスケジュールで飲むことが大切です。

生理痛が軽減する

生理痛に悩んでいる女性が病院に行ってピルを勧められることがあります。生理不順を改善するだけでなく、生理痛の辛い症状にもピルは効果を発揮します。生理痛は個人差が大きいのが特徴で、ひどい症状だと仕事に行くことができない人もいます。ピルを飲むことによる効果も個人差があるものの、低用量ピルはリスクが小さいため、飲用してみるのも方法の一つです。

肌トラブルが改善する

ホルモンバランスが乱れると、ニキビなどの肌トラブルが発生します。症状には個人差があるものの、美容を意識する女性にとって肌トラブルは大敵です。肌トラブルを改善するためには、ホルモンバランスの乱れと向き合う必要があります。

ピルはホルモンバランスを整える作用があるので、肌トラブルに悩みを持つ人にもおすすめです。ホルモンが原因で起こる生理不順や生理痛にピルが良いとされているように、ホルモンの乱れによって起こる症状には一定の効果が期待されます。

病気の予防効果

女性は、女性ホルモンの乱れがきっかけで罹患する病気が多くあります。婦人病と言われている病気の多くが、これに該当しています。ピルを服用することによってホルモンバランスの乱れを改善することができます。そのため罹患率を下げる効果も期待できます。女性の体は女性ホルモンのバランスによって成り立っています。健康を意識して、ピルを始める女性もいます。

ピルの注意点

性病のリスクはある

正しくピルを服用することで、避妊率を高めることができます。一方、コンドームのように性病を防ぐことはできません。ピルを飲用しても、性器と性器は直接的に触れ合うことになるため、ピルを飲んでも飲まなくても性病の罹患率は同じです。

性病を予防するためには、清潔な環境でエッチをすることやコンドームの装着が必須です。物理的に性器を守ることが一番の性病予防につながります。もちろん避妊においても、ピルだけでなくコンドームをつけることで妊娠の確率をさらに下げることができます。

ピルの副作用

ピルには副作用があるという話しもあります。ピルには低用量のピルと緊急用のアフターピルがあります。副作用がきついと言われているのは後者です。低用量ピルは、少しずつ体に取り入れていくタイプなので、アフターピルと比較すると身体への負担は小さいのも特徴になります。

ただし、まったく副作用がないというわけではありません。体質によっては眠気などの症状が出てくることもあります。服用して体調が悪いと感じる場合は、病院に行って相談することをおすすめします。またピルを服用することで、食欲がわいて体重が増加することも少なくありません。症状の現れ方については個人差もあるので注意が必要です。

ピルの入手方法

ピルは指示薬の扱いになるため、医師の診察を受けて処方してもらう必要があります。産婦人科の医師に限ったことではありませんが、基本的に低用量ピルを処方しているのは産婦人科です。何度か通うことになるため、自宅から近い病院を選ぶことをおすすめします。処方実績がある病院の方が安心できます。

ピルはルールを守って服用する必要があること、副作用のリスクがあることから、信頼できる医師を探しましょう。診察に出向いたときに、しっかり話しを聞いてくれることもポイントの一つになります。分からないことがあっても、聞きやすい雰囲気も大切です。

用法や用量を守らないと効果がない

ピルは用法や用量をきちんと守って服用することで、効果を得ることができるものです。そのため、自分の判断で服用するのは厳禁になります。もちろん服用して効果が見られないからと言って、勝手に自分で増やすことや減らすこともよくありません。気になる場合は、必ず医師に相談して判断を仰ぎましょう。

まとめ


いかがでしたか?ピルには避妊の効果だけでなく、女性の体に対するメリットもあります。ピルは医療機関での処方になるため、信頼できる病院や医師探しも重要です。また、ピルにはさまざまなタイプがあるため、タイプによる違いを知ることも必要になります。ピルを使用する場合は、用法や用量をきちんと守って服用しましょう。