避妊リングの正しい使い方|子宮内避妊器具(IUD)の特徴を理解して計画的な妊娠を!

  

経済的な理由、家庭の事情、本人の意思など、様々な理由で今すぐの妊娠を望まない方もおられることでしょう。
計画的な妊娠を行うために必要なのが避妊です。

避妊の方法といえばコンドームの使用やピルの服薬などが有名ですが、それに加えもうひとつ、避妊リングという方法も検討してみましょう。

今回は避妊リングがどういったものなのかということはもちろん、それにかかる費用、避妊リングを使用することのメリット・デメリットなどを詳しく紹介していきたいと思います。

避妊リング(IUD・IUS)ってどんなもの?

IUD(子宮内避妊リング)|ノバT🄬

避妊リングは「IUD(ノバT)」と「IUS(ミレーナ)」の2種類がありますが、まずはIUD(ノバT)からご説明していきましょう。

IUDはT字型の軸に細い銅線が巻きついたもので、これを子宮内に挿入することで「子宮内膜に炎症性変化を起こす」という作用があります。炎症反応があることで着床を防ぐというわけですね。

また銅線に含まれる銅イオンの働きによって、精子の運動性を低下させる作用もあります。そのため「そもそも受精することが困難になる」のです。

そんな受精も着床も抑制してくれるノバTは99.4%の避妊率を誇り、コンドームの85%を大きく上回る効果があります。また1度挿入すれば最長5年は使用することができるというのも嬉しい点です。

【IUD(ノバT)の特徴まとめ】

  • 銅の作用で妊娠を抑制する避妊リング
  • 素材:合成樹脂と銅イオン(380mg)
  • 作用:銅イオンで受精を抑制、炎症反応で着床を抑制
  • 避妊率:99.4%
  • 使用期間:5年

IUS(子宮内避妊システム)|ミレーナ🄬

上記のIUD(ノバT)とピルを足したような避妊リング、それがIUS(ミレーナ)です
IUS(ミレーナ)の最大の特徴は黄体ホルモンが含まれていることでしょう。

この黄体ホルモンが子宮に挿入されることで子宮口の粘膜が変化し、精子が子宮に侵入するのを防ぐことができます。
しかしそれ以上に効果的なのが、子宮内膜が厚くならないという点です。

「着床すべき場所がない」という状態になりますので、いくら受精したとしても妊娠することがないのです。
そのためミレーナの避妊率はとても高く、なんと99.8%以上の数値を誇ります。

またピルの服薬は体全体に影響を与えるものになりますが、ミレーナは子宮のみに効果が出ます。
そのためピルの服薬が出来なかった方々でも使用することができるのです。

  • 喫煙しているため服薬を断られた
  • 強い副作用が辛く長期間服薬できなかった
  • 肥満体型のため効果が望めなかった

このようにピルの利用が出来なかった経験をお持ちの方は、ぜひミレーナの利用を検討してみましょう。

【IUS(ミレーナ)の特徴まとめ】

  • 黄体ホルモンの作用で妊娠を抑制する避妊リング
  • 素材:合成樹脂と黄体ホルモン不可(レボノルゲストレル52mg)
  • 作用:子宮内膜が厚くならないので着床を抑制
  • 避妊率:99.8%以上
  • 使用期間:5年

避妊リングの挿入・抜去

出血や痛みはある?

IUD・IUS、どちらも麻酔を利用せずに子宮内に挿入することになります。そのため出産経験のない方では子宮口が固いため、若干の痛みを感じることもあるでしょう。こればかりは個人差のあることですので、ある程度は覚悟が必要です。

ただ挿入の際に出血することはほぼありませんので、出血の心配はしなくても良いでしょう。

それよりも注意して欲しいのが挿入時期です。IUDやIUSの挿入は月経中、もしくは月経終了後1週間以内に行うことが推奨されています。
この時期以外では既に妊娠している可能性もありますし、子宮内膜が厚くなっている状態では避妊リングが上手に装着できない可能性もあるためです。

費用は?

避妊目的で避妊リングを利用するには、保険適応にはならないと考えておきましょう。ご利用になられる病院によって差はありますが、おおよそ3万円から7万円程度が相場のようです。
また最初の挿入時以外にも、避妊リングを撤去する際、また交換時期が来た際には別途料金が発生することになります。

ちなみにですが、黄体ホルモンを含むミレーナのは避妊目的以外でも使用されることがあります。
ミレーナは以下の2つで治療認定を受けているのです。

  • 2014年9月:過多月経の治療認定
  • 2014年11月:月経困難症の治療認定

そのため、もしこれらの症状に当てはまると診断されれば保険の適用になり、その費用は1万円~2万円程度になります。

避妊リングが使用できない人

「ピルは服薬できないけど避妊リングなら利用できる」とお伝えしたように、基本的に避妊リングは多くの方が使用できる避妊方法です。

しかしだからといって誰でも利用できるというわけではありません。
中には避妊リングを使用できない場合もありますので、事前に自分が当てはまるかどうか確認しておきましょう。

・付属器炎、子宮内膜炎、、急性又は亜急性頸管炎、骨盤内炎症性疾患( PID )がある
・骨盤内炎症性疾患( PID )治療後2カ月未満
・妊娠中、または妊娠の疑いがある
・子宮腔の変形をきたすような子宮筋腫、性器悪性腫瘍の疑いがある
・子宮発育不全、子宮奇形、著しい子宮の位置異常、強度の前屈・後屈、頸管無力症
・過去3カ月以内に感染性流産の既往がある
・異所性妊娠の既往、または異所性妊娠の素因がある
・IUD・IUS装着時、頸管拡張時に失神、徐脈(脈拍がゆっくりになる)などの迷走神経反射を起こしたことがある
・カンジダ症を除く、性器感染症にかかっている
・過去12カ月間に性感染症(細菌性膣炎、カンジダ症、再発性ヘルペスウイルス感染症、B型肝炎、サイトメガロウイルス感染症をのぞく)にかかったことがある

出典:ベビーカレンダー

これ以外にも、避妊リングに含まれる成分にアレルギー症状が出る方も利用することはできません。
お心当たりのある方は、1度病院で相談してみるようにしましょう。

メリット・デメリット

メリット

避妊リングの最大のメリットはその高い避妊率です。
先述したようにコンドームよりも遥かに高い数値となっており、避妊リングの使用後1年以内に妊娠してしまう確率は、IUDで0.6%、IUSで0.1%しかありません

また性行為のたびにコンドームを用意するという手間もありませんし、ピルのように継続的に服薬しなくてはならないということもありません。
避妊に対するあらゆる煩わしさから解放されることになるでしょう。

更に避妊リングは子宮にのみ影響を与えるものですので、授乳中はもちろんのこと、産後2カ月から使用が可能です。
「避妊リングを除去するとすぐに妊娠が可能になる」ことも大きなメリットと言えるでしょう。

デメリット

避妊リングのデメリットは、個人の判断で利用することができないという点です。
必ず医療機関で装着する必要がありますし、保険の適用外となるため初期投資として大きなお金がかかることになります。

それ以外には、個人差はあるものの多少の痛みを伴うこともデメリットと言えるでしょう。
また子宮のみにしか影響しないとはいえ、 人によっては生理周期が変動したり、不正出血が起こることもあります。

避妊リングを装着したら定期健診を受けよう

避妊リングは、装着1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後と、定期的な検診が推奨されています。これは装着状況の確認をするとともに、避妊リングによる身体への影響も考えてのことです。
中には「半年後・1年後の2回だけで良い」とする病院もありますので、あらかじめ確認しておきましょう。

また定期健診以外にも、体になんらかの不調が現れたのであればすぐに診察を受けるようにしましょう。例えば以下のような症状です。

  • 月経がこないとき
  • 市販検査薬などで妊娠反応がでたとき
  • 月経の症状が明らかに変化したとき(出血量・痛みなど)
  • おりものに異常を感じたとき
  • 膣内に異物感があるとき
  • 避妊リングの自然脱出を見つけたとき

「定期健診を受けること」「不安が生じたらすぐに診察を受けること」これさえ守れば、避妊リングの高い避妊効果の恩恵を受けることができます。

確かに初期投資は少し大きなものではありますが、5年間使用しつづけられることや、煩わしさから解放されることを考えると、安全性の高い賢い避妊方法と言えるでしょう。
計画的な妊娠をお考えの方は、ぜひ今回の情報を参考にして、避妊リングの利用を検討してみてくださいね。