スローセックスでもっと愛情を深めよう!メリットやデメリットとは?

  

1980年代にイタリアで始まったスローフード運動。ハンバーガーなどのファストフードの対極にある食への考え方で、土地の伝統的な食文化や食材を見直すものであり、日本国内でも徐々に浸透しています。一方、セックスの世界でもスローセックスということばがあるということをご存知でしょうか。

ゆっくり、じっくりと時間をかけてセックスをするもので、射精すること、オーガズムに達することをゴールとしない新しいセックスの考え方です。特に女性が感じやすくなる、精神的な落ち着きが得られると評判のスローセックスの特徴やメリットとデメリット、スローセックスの基本的なメソッドについて解説します。

スローセックスとは

性欲を解消することを目的として、おざなりなキスの後、前戯もそこそこにすぐに挿入、男性が一方的に激しく腰を動かして果てる、そんなセックスばかりしていませんか。性欲に駆り立てられて本能のままに行うセックスは、別名、ファストセックスやジャンクセックスなどとも言われています。

スローセックスは、とにかくゆっくりと時間をかけることに重点を置くものであり、必ずしも射精することがゴールになるものではありません。体位にこだわったり、感じているふりをして喘ぎ声をあげたりすることもなく、自分に正直に、そして相手への思いやりをもつことで成り立つメンタル面を大切にしたセックスです。そんなスローセックスとはどんなものなのかについて説明します。

男女のコミュニケーション

スローセックスに焦りや演技は不要です。互いの性感が高まるまでじっくりと時間をかけて行うものであり、「○○しなくては」という強迫感にとらわれる必要は全くありません。ある意味、哲学的なセックスとも言えるものであり、性欲のままにガツガツ相手を求める、自分だけ快感を得ようとする、というような独りよがりなセックスとは根本的に異なるものです。

常に相手の性感の高まりや精神的な満足感を意識して行うものであるため、真の男女のコミュニケーションを図ることができるものです。セックスにマンネリを感じてきたカップルにもおすすめで、ダイレクトな刺激とは全く違う快感を得ることができるでしょう。

スキンシップを大切にする

男性が時間をかけて、上半身、下半身の愛撫をすることがスローセックスの基本となります。一般的なセックスは愛撫は挿入までの前戯であり、乳首やクリトリスを強く刺激して女性を素早く感じさせようとするものですが、スローセックスにおける愛撫は、イカせること、挿入することを前提として行うものではありません。

絶頂を求めるのではなく、体の触れ合い、スキンシップを時間をかけて行うものであるため、相手の体を触ることへの喜び、触られて感じることの幸せを感じることができるものとなるでしょう。

イクことにこだわらない

一般的なセックスでは、ゴールが射精、オーガズムの頂点に達することと決まっているため、少々前戯に時間をかけても互いにイクことを目的として行うものです。男性は挿入するとすぐにピストン運動を始め、女性を強く刺激しながら自分自身を射精へと誘います。

スローセックスでは、挿入してもしばらく動かすことなく2人がひとつになっていることの幸せを嚙みしめます。静止した状態をしばらく維持した後にゆっくりと動かすと女性の感度も全く変わってきます。また、長い時間をかけて挿入すると男性の中折れの不安がありますが、スローセックスでは最終的にイカなければならないということはないため、射精なしで終わってもOKとなります。

ポリネシアンセックスが起源

スローセックスは、ポリネシアンセックスにその期限があると言われています。本場のポリネシアンセックスでは、セックスを5日間という長い期間をかけて行います。挿入するのはそのうち1日だけで、残りの4日間は、体を重ねたり愛撫したりすることに時間を費やすものです。

前戯に最低1時間はかけ、射精やオーガズムに達しても性器を結合させたままの状態で抱き合います。せっかちなセックスばかりしている人にとっては考えられないようなスローなセックスですが、これによって性感が高まるとともに精神的な満足感や相手に対する愛情が深まると言われています。

快感がずっと続く

一般的なセックスでは、時間をかけずに最大の快感を与えようと男性は女性の敏感な部分をすぐに刺激したくなるものです。これは、準備運動やストレッチをしないままいきなり100メートル走をするようなもので、スタートダッシュから間もなくオーガズムの頂点というゴールに行きつくことになります。

激しい快感は瞬間的に訪れますが、ピークを過ぎれば体の感覚も精神的な満足感も薄れていくものです。スローセックスでは、挿入や激しいピストン運動よりも愛撫を大切にするため、イク手前の快感をずっと持続させることができ、今までにない快感を得ることができるようになります。

女性が感じやすい

スローセックスでは、男性がたっぷりと時間をかけて女性の全身を愛撫するという大きな特徴があります。女性はいきなり乳首やクリトリスを強く刺激されるよりも、時間をかけて優しく愛撫される方が感じるものです。

スローセックスでは、一般的に乳首やクリトリスなどが中心となる愛撫とは違って、体全身の愛撫が基本となります。イカせるための愛撫ではなく、男性が女性を愛しているという感情が伝わるようなソフトタッチで行うものであるため、女性の感度が高まります。肉体的な快感だけでなくメンタル面での満足感が得られることで女性がさらに感じやすくなります。

スローセックスのメリット


スローセックスは、とにかくじっくりと時間をかけて行うものであるため、なるべく早く挿入して激しくピストン運動して、射精したいという男性にはなかなか理解が得られないものかもしれません。しかし、スローセックスは女性だけが感じやすくなるのではなく、男性も気持ちいいというメリットもあります。いつもせわしなくセックスをして徐々にマンネリ化していくよりも、2人の愛情関係を長くキープするのにも効果的です。

そこで、スローセックスが女性だけでなく男性にもおすすめの理由やメリットについて解説します。

愛情を深められる

スローセックスでは、男性が時間をかけて女性の全身を愛撫することを重視しています。愛撫する部分も乳首や性器に限ったものではなく、体全身に及び、首筋や顔、髪の毛なども含まれるものです。セックスというよりもスキンシップを多くするものであり、結合することを目的としない身体の重なり合いも多くなります。

スローセックスでは、男性の女性に対する愛情がないと長い愛撫はできません。愛撫を受ける女性は愛されていることを心から実感することができるとともに、互いを思いやる気持ちが生まれます。一般的なセックスは、男性がひとりよがりで快感を得るために行われることが多いものですが、スローセックスでは自分本位ではいられないため、互いの愛情を深めることができると言えるでしょう。

一体感を感じられる

一般的なセックスでは、男性が女性を刺激して喘ぎ顔や喘ぎ声で自分が女性を悦ばせられていることに満足し、興奮を高めて射精するという男性優位なものであることが多いものです。女性は男性の欲望のはけ口として利用されていると感じることもあり、若干の寂しさを覚えることもあるのではないでしょうか。

スローセックスでは、挿入してもすぐに動かすことはなく2人の体がひとつになっていること、体を重ね合わせていることの快感が得られます。また、女性への愛撫が多いので、男性が女性を思ってやってくれているという喜びが強くなるものです。普通のセックスにはない、男性と同等な気持ち、一体感を得られやすいものであると言えるでしょう。

お互い気持ちよくなる

スローセックスでは女性が長い時間にわたって全身を愛撫されるため、感度がよくなり感じやすくなります。しかし、気持ちいいのは女性だけではありません。男性は、通常のセックスでは射精に至った後は、体力を大きく消耗するとともにいわゆる賢者タイムが訪れて酢に戻ってしまうものです。

スローセックスでは、挿入はどちらかというと控え目であり、入れた後もピストン運動を激しくせずにじっとしている時間が長いことから、性感エネルギーを溜め込んで体も心も満たされた状態で絶頂を迎えることができます。いつもの射精とはくらべものにならないほどの快感を得ることができるでしょう。

精神的に充足する

スローセックスでは、性感帯を強く刺激することによる快感を求めることが目的ではありません。たっぷり、じっくりと時間をかけて、体を愛撫したり、重ね合ったりして互いの体の感触を楽しむことができます。刹那的な強い快感は一時的なものであり、オーガズムに達すると後は性欲や感情が下降するだけです。

スローセックスでは、愛情と性的エネルギーを互いに交流させながら喜びや幸福感を感じることができます。肉体的な刺激による快感や満足感とは全く異なる次元の気持ちよさを共有することができるため、精神的な満足感が高まります。

マンネリを解消できる

付き合いが長いカップルや夫婦のセックスは、プレイ内容に工夫を加えてもどうしてもセックスがマンネリ化しがちとなるものです。付き合い始めの頃の興奮や新鮮味も薄れるため、前戯に時間をかけることもなく、すぐに挿入して射精して終了ということが多いのではないでしょうか。

セックスを楽しむというよりも義務感の方が強くなって、セックスすることが苦痛となることも考えられます。スローセックスでは、ゆっくりと時間をかけて互いの快感を高めていくことができるため、マンネリの解消にも効果的です。また、相手を尊重して褒めたり、いつも口に出していうことのない愛の言葉を囁いたりすることで2人の関係も改善されることでしょう。

EDを気にしなくてよい

最近では、中高年だけでなく若い男性のなかにもEDで悩んでいる人は多くいます。いざセックスしようとしても勃起するのに長い時間がかかったり、挿入するとすぐに中折れして復活できなかったりと、人によってさまざまな状態がみられます。

EDは男性が自信を喪失する大きな原因となるものですが、スローセックスでは射精がゴールではなく、それまでのプレセスを楽しむことに重点を置いているため、セックスへの恐怖感や不安感を抱くことがありません。体の触れ合い、精神的な触れ合いだけで十分に女性を満足させることが可能です。

余韻が味わえる

通常のセックスでは、射精やオーガズムに達することが目的なので、ゴールに到達するとそれまでと態度がガラリと変わってしまいます。特に男性は、直後にタバコを吸ったり、シャワーを浴びたり、なかにはそのまま眠ってしまうこともあるでしょう。取り残された女性は余韻に浸ることもなく寂しさを感じてしまいます。

スローセックスでは、ゆっくりと時間をかけて快感を得ることができ、特にゴールが決まっていないので射精がなくてもずっと快感を得ることができます。また、射精やオーガズムの頂点に達しても、その後の幸福感やリラックスした状態で余韻を味わうことができます。

スローセックスのデメリット


スローセックスはイクことを目的としていないため、愛撫や抱擁、体を重ね合わせる喜びなど、さまざまなバリエーションで快感を得ることができるものです。刹那的に強い快感を得ることではなく、2人の愛情を確認したり、相手を思いやったりして精神的にも満足できるものです。

しかし、性欲旺盛でガツガツしている人やセックスに時間をかけるのがもったいないという人にはスローセックスは向いていません。

せっかちな人には向いていない

スローセックスは、互いを尊重しいたわり合いながら幸福や快感に満ちていくプロセスを楽しむものです。たっぷりと時間をかけることが必須条件となるため、時間とスローセックスするのに適した場所が必要となります。

スローセックスが通常のセックスでは得られない快感や幸福感を得られることがわかっていても、忙しくて時間がない、とにかくすぐに挿入して射精したい、というせっかちな男性にとってはメリットよりもデメリットの方が目立ってしまう可能性があります。

ガツガツが好きな人には不満がある

欲望のおもむくままに獣のように貪りたいと野性的なセックスを好む人もいます。また、とにかく強い刺激、激しい快感や絶頂感を求める人もいるでしょう。ゆっくりと時間をかけるなど論外で、すぐに挿入してさまざまに体位を変えながら激しいピストン運動をすることこそがセックスであると考えている人も少なくありません。

そんなガツガツ系セックスが好きな人にとって、何時間もかけて愛撫し、挿入してもすぐにピストン運動ができないスローセックスはもどかしくて仕方がないものとなります。スローセックスの対極にあるジャンクセックスにしか魅力が見いだせない人は、スローセックスの必要性を感じることはないでしょう。

スローセックスの基本


スローセックスは、強い刺激によってオーガズムの頂点に達することを目的とせずに、それまでの過程で相手に対する愛情や思いやりの心をもって快感とともに幸福感を得ることを目的としています。相手をイカせること、感じているフリをすることについて一切考える必要がなく、自由でゆったりとしたセックスになります。

体と心の触れ合いを重視しているスローセックスでは、こうしなくてはならなないという絶対的な決まりはありませんが、より快感を得るための基本的なポイントがあります。そのなかでも特に精神的な充足感につながりやすい3つのポイントについて説明します。

ムードを作る

スローセックスはメンタルで感じることも大切であるため、セックスのまえの雰囲気づくりをすることも大切な条件となります。スローセックスは、もともと5日間もかけてセックスをするポリネシアンスタイルに由来しています。自然回帰という点からも、テレビやスマホなど人工的な音が出るものは全てOFFにしておきましょう。

部屋を暗めの照明に設定して、アロマキャンドルなどで嗅覚からも快感が得られるようにするとなおいいでしょう。2人の距離をいつもよりグッと縮めて、普段はあまり口に出すことのない「好きだよ」「愛してる」などの愛のことばを耳元で囁くなどして、ムードを演出するとセックスに入りやすくなります。

レインボーキス

セックスの時のキスというと、軽く唇を重ねるフレンチキスと相手の唾液を吸い込む勢いで激しく舌を絡ませるディープキスが一般的なものとなっています。スローセックスでは、キスを相手に対する愛情を伝えるための行為と考えており、7種類のキスに分けられることからレインボーキスと呼ばれています。

レインボーキスには、アダムキス、ビキニングキス、サウンドキス、タンキス、ディープキス、ペニスキス、バキュームキスの7種類があり、アダムキスから順番にプロセスを踏んで行っていくのが一般的となっています。

アダムタッチ

アダムタッチは、スローセックスについての著書がベストセラーとなったセックスセラピスト、アダム徳永氏が推奨しているものです。スローセックスの要となる全身愛撫をする方法であり、男性が女性に長い時間快感を与えるためには覚えておく必要あります。

アダムタッチは、手のひらを歯だから少し浮かせて、指先が肌に触れるか触れないかという絶妙なタッチが基本となります。ゆっくりと楕円を描くように愛撫することで女性を感じさせることができます。すぐに乳首や性器に触れるのではなく、全身に指を滑らせながらじっくりと焦らすのも大切なポイントとなります。

スローセックスのレインボーキス


スローセックスでは、相手に愛しているということや思い遣っているということを伝えることも大切であり、単に利己的に快楽を求めることはタブーとされています。

アダムタッチのようなソフトで柔らかな愛撫が基本となっているとともに、キスでも想いを伝え、性感を高めるレインボーキスを活かすようにすることが求められます。普段、挨拶程度にしかキスをしない人には発見が多く、時間を忘れるほどキスに没頭できると評判になっています。

アダムキス

アダムスキスは、唇を重ねるだけのフレンチキスよりももっと軽いもので、唇と唇が触れるか触れないかという微妙なタッチでキスをするものです。

唇を塞いでしまうことのないソフトタッチがポイントであり、スローセックスに入る第一段階のキスとして活用され、20秒ほどが適切であるとされています。

ビギニングキス

ビギニングキスは、普段のキスではなかなか経験することがない種類のキスです。唇を全体でひとつのものとして扱うことなく、上唇や下唇、口角など、パーツに分けてそれぞれにキスを楽しむものです。

触れるか触れないかという微妙なタッチで、一部分だけ重ねるのでゾクッとした快感を得ることができるでしょう。キスするパーツを次々に替えながら2分ほどかけるのが適切と言われています。

サウンドキス

サウンドキスは、その名の通り音をたててキスをするものです。このキスは唇の触感を楽しむだけでなく、聴覚を刺激して快感を得られるものです。

子どもがするようなキスを敢えてしてみたり、音楽を奏でるようにリズミカルにキスしたり、変化に富んでいるのも魅力と言えるでしょう。このキスは、1分間ほどが適切な時間とされています。

タンキス

タンキスのタンとは舌のことです。「ここでようやくディープキスか」と喜ぶ男性もいるでしょうが、まだ本格的なディープキスの段階ではありません。

相手の口の中に舌は入れますが、舌先がツンツンと触れ合う程度にとどめることがポイントとなります。スローセックスは時間をかけて焦らしながら性感を高めることに意義があるため、タンキスも焦らすために40秒程度で終わりましょう。

ディープキス

ここでやっとおなじみのディープキスの時間となります。ディープキスは慣れている人が多いので敢えて方法については言及しません。互いの欲望がおもむくままに舌を絡ませればいいだけです。

いつもディープキスしかしないという人も、レインボーキスの段階にそってディープキスをするといつもとは全く違う感覚を得ることができるでしょう。

ペニスキス

ペニスキスという名前から、女性が男性の性器にキスをすることをイメージする人も多いでしょう。しかし、焦らしながらゆっくりとステップを重ねていくレインボーキスでいきなり性器へのキスはしません。

互いの舌を勃起したペニスに、また、相手の口を膣に見立てて、口と口を使って疑似挿入をするものです。セックスの気持ちよさは精神的なものも大きく関係しているため、イメージしながらペニスキスすることによって性感や興奮を高めることができます。

バキュームキス

バキュームフェラというテクニックはありますが、バキュームキスということばは初めて聞くのではないでしょうか。その名の通り、掃除機のように互いの口のなかを吸い合う激しさ満点のキスです。

焦らされてきた欲望が爆発するかのように唇が腫れてしまうほど存分に吸い合いましょう。

まとめ


セックスは快楽を伴うものですが、どちらかというと男性の性欲を満たすための一方的なプレイになることが多く、回数を重ねるごとにマンネリ化して新鮮味や興奮が薄れていくものです。射精することが目的なので、前戯に時間をかけることなく、挿入して激しくピストン運動して終わりということも多いでしょう。

スローセックスは、射精やオーガズムに達することをゴールとしないスキンシップやキスを重視したセックスです。じっくりと時間をかけて愛撫したり、体を重ねたりしながら焦らすことによって互いの性感や精神的な満足感が高められます。これまでのセックスの概念を覆すものであり、マンネリ化の解消や2人の愛を深める効果もあるため、一度ゆっくりと時間をかけて試してみることをおすすめします。